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STRATEGYORGANIZATION2026-03-27

中期経営計画策定における現場巻き込み術

By 佐藤 由紀子

中期経営計画策定における現場巻き込み術
中期経営計画(以下、中計)は、かつては経営企画部門と一部の役員が密室で策定し、発表会で全社に伝えるという形が主流でした。しかし、ここ数年、現場の社員にとっては「自分とは関係のない、上から降ってくる目標」として受け止められ、計画の実効性が著しく低下する事例を多く見てきました。 私たちが最近支援した大手サービス業のお客様では、これまで5回連続で中計の数値目標が未達となっており、新たな中計策定に際して「今度こそ現場が動く計画にしたい」というご相談をいただきました。私たちは経営企画部門と並走しながら、以下の3段階で現場を巻き込む設計を行いました。 第一段階は「現場ヒアリングを起点にする」ことです。事業部門の管理職層40名に対し、現在の事業環境、お客様の動向、自社の競争優位の源泉、現場が感じている課題について、構造化されたインタビューを実施しました。経営企画が作った仮説をぶつけるのではなく、現場の言葉から戦略のヒントを抽出することを徹底しました。 第二段階は「戦略の骨子段階で現場と対話する」ことです。多くの企業では、戦略がほぼ完成してから現場に「降ろす」のが通例ですが、私たちはあえて骨子段階——つまり、まだ余地がある段階——でワークショップを開催しました。現場が「自分たちの意見が反映された」と感じることが、後の実行力を決定的に左右します。 第三段階は「KPIを現場の業務に翻訳する」ことです。中計の経営KPIは抽象度が高く、現場の日々の業務とは直結しません。各部門ごとに、経営KPIを業務レベルの行動指標に分解し、月次でモニタリングする仕組みを構築しました。 結果として、この中計の初年度は5期ぶりに数値目標を達成し、現場からは「初めて自分たちの計画だと感じられた」という声が多く寄せられました。中計は経営の道具であると同時に、組織の意思を統合する仕組みでもあります。現場巻き込みは「面倒な手続き」ではなく、計画の実効性そのものを決める設計要素なのです。